各インターネットメディアでもその事実が既に取り上げられているのでここに記しても問題ないと思うのだけれど。 当ブログで僕がいつも熱狂的にレビューしている、 H | p s、すなわちChaz Bellは、今年の3月で21歳になったばかり。 ・・・あの稀代の傑作Youth On Pillsを制作しはじめたころはまだ10代だったなんて! だいたい彼がそのキャリアをスタートさせたMauled By Lionsに至っては、 若干13~14歳だった計算で。 Mauled By LionsのRememberなどのチップチューンを愛聴している自分としては、 彼の年齢を知ったとき、ちょっとショックですらあった。 そして、そのすでに短くない彼のキャリアのなかでも。 前作Youth On Pillsをリリースしてから今作のリリースに至るまでの1年間は、 彼にとって最も激動というか、濃いものだったに違いない。 Youth On Pillsのネット上での一部の激賞、 An Isle Ate HerのアルバムPhreniaのリリース~突然の活動停止、 ・・・に加えて。 このことは書いておかなければいけない。 彼は昨年の夏、An Isle Ate Herのアルバムのレコーディングのあと、 地元アトランタにて自動車事故を起こし、命を落としかけたということ。 また、その際に薬物の不法所持で逮捕され、2ヶ月くらい?リハビリ施設に入っていたこと。 このアルバムの楽曲のほとんどが施設の中で作られたものだということ・・・である。 An Isle Ate Herのアルバムのレビューやらなにやらを当ブログにてした際には言葉を濁したが、 アルバムのリリース前の大事な時期にヴォーカリスト不在という異常事態にバンドは立たされ、 いくつかの決まっていたライブもキャンセルし、アルバムのリリースパーティーのスケジュールも入れられない状態で プロモーションを行っていたのである。 ちなみに、An Isle Ate HerのPhreniaのアルバムのアートワークは、 施設に向かう直前に彼が短期間で描いたものである。 この陰鬱なアートワークに取り掛かっているとき、彼はどんな心境だったのだろう・・・? そういった事情があったからこそ、彼らのアルバムのリリースパーティーであった、 Circle Takes The Squareを彼らの地元に招いての、Chaz復帰一発目のライブは、 バンドが継続出来ないストレスからメンバー全員が解き放たれて抑圧された感情が爆発した、 とんでもないものだったのだけれど・・・。 話をこのアルバムに戻そう。
今作はカセットリリースをメインに精力的にな活動を続けるカリフォルニアのChill Mega Chillレコードから、 H | p sとしては初のフィジカルリリースもされている。 (http://chillmegachill.bandcamp.com/album/h-p-s) 2012年5月2日現在、限定50本のカセットはまだ在庫があるみたいだから、 興味のある人は急いでオーダーしたほうがいいんじゃないかと思う。 そんでだ。 このとんでもないアルバムについて。 前作までの濃厚なシューゲイザー的サウンドは皆無。 このアルバムではガレージ的なロックンロールにターンしつつ、 trk-4のSorry Babeなんかはソロで展開していたエクスペリメンタルな意匠が施されていたり。 今作は、H | p s名義で彼がリリースしてきた音源の集大成的な内容・・・と言っていいだろう。 これまでH | p sを愛してきた人間ならTrk-1のイントロが Youth On Pills冒頭のnot that big of a dのコード進行に酷似していることや、 このアルバムのなかでもクライマックス的なAntipsychoticが、 同じくYouth On Pills収録のantidepressantと同じサンプルに始まり、 1st収録の名曲haunting thoughts of youの美しすぎるメロディーを踏襲して、 あの楽曲の続編的なナンバーになっていることだとか、もういくらでも上げられると思うけど。 そういう記号みたいなのはあくまでもオマケというか。展開されているすべてがネクストレベルに到達しているというか。 そして、なによりも開放感と、ロック的なカタルシスに満ち溢れている。 過去のDepressiveな楽曲の数々を散々愛聴して来た身としてはこれは本当に驚きだった。 そのことは、前述したリハビリ施設に入って云々・・・といった今作の制作の背景とは無縁ではないのだろう。 僕は今作に耳を傾けるたびに、彼がリハビリ施設に入居するに当たって、 ネット環境がすべて断たれ、 友人たちとの連絡手段もなく、 これまで楽曲を制作するときはいつもキメキメでハードドラッグにも手を出していたという彼が、 一切の薬物を断ち切って自己に向き合い、このアルバムの制作に向かっていったであろうその真摯な姿を思い浮かべて、 ただただ胸が熱くなる。 今作収録曲のなかでも、 Youth On Pillsのリリース直後にシングルとして発表されたTrk-5のHole Heartedならびに、 もともとはChill Mega Chill主宰のCactus MouthのミックステープCool Cats (http://cactus-mouth.tumblr.com/post/8952306767)収録曲だった Trk-9、Salted Slugの2曲は、彼がドラッグに依存しきっていたであろう時期に発表されたもので、 特にSalted Slugは彼がこの楽曲をbandcamp上でリリースしてからすぐに施設に行ってしまったこともあって、 個人的には猛烈に思いの深い楽曲であるのだけれど、 この楽曲の、剥き出しの感情、絶望、混沌・・・と、 開放感に溢れた新曲群がまったく違和感なくアルバムに同居していることには本当に驚きだ。 ・・・とかまあ、冷静にここまで書いてきたんだけど、 正直、自分にはこのアルバムのことをレビューするのなんてとうてい不可能だ。 この2ヶ月くらいタイプしては消し、タイプしては消しを繰り返してみたんだけど、やっぱ無理。 何故って、僕はこの人の音楽に入れ込みすぎているから。 自己投影しすぎているから。 これは僕の人生のある一時期を切り取ったサウンドトラックだとすら感じてしまっているから。 だから。 どこまでも美しいAntipsychoticの前にただ涙するだけなんだ。 過去最高にポップなSup Babeで、夜通し踊るだけなんだ! Finally Happy!!
このアルバムがChill Mega Chillからリリースされることについて、少しだけ。 ここのところ、エレクトロやchillwave的なサウンドを主体としたアーティストのリリースがメインになっていたCMCから、 これだけlo-fiなロックンロールのアルバムがリリースされるということに戸惑いを覚える方も多いんじゃないか。 ただ、ここのファーストリリースを思い出して欲しい。 あの歪み切ったヒップホップの傑作、Ricky Eat AcidのHaunt U Foreverだったわけで。 CMCのハロウィンコンピ、ChillerにもHigh Popのようなガレージバンドが収録されてるしね。 今作をリリースする下地のようなものがこのレーベルには完璧に準備されていたのだと、個人的には思う。
で、個人的に気になっているんだけど、 彼らのFacebookページに2月の終わりに投稿された 「Wanzwa + An Isle Ate Her collaboration. Are you ready? Coming soon to a theater near you, cosmically speaking.」 の一文。 AIAHとコラボ?なんかやったの?
(追記) 彼らのfacebookページにて、ラストライブの最後の最後、 Tributary: Restitution Passed the Event Horizonをプレイする、 まさにそのキャリアのすべてを自身で燃やし尽くさんとする、壮絶なパフォーマンスがアップされた。 http://www.facebook.com/photo.php?v=186078301490713 本当に最高すぎるぜ!! (追記その2) 当日対バンだったCity Of Ifaのメンバーによって撮影された動画が youtubeにあがっている。
・・・本当に、これがこれから活動停止するっていうバンドのパフォーマンスか!? 6分くらいからプレイされた曲が件の新曲だと思うんだけど、もうね、本当に惜しいわ! ChazのMCに倣って俺にも言わせてくれ。 Shout out to Chaz,shout out to Collin,shout out to Eric and shout out to Catt!! Shout out to An Isle Ate Her!!!!!
衝撃的だったAn Isle Ate Herの活動休止宣言から数日が経ち。 いまだに自分はこういうときによく言われる「気持ちの整理が」云々っていうアレだ。 アレの前でずーっとたたずんでいる。 ほら、バース掛布岡田のセンターへのホームラン3連発を、いまこれから観られるってわかってたら、 テレビの前にスタンバルでしょ? 岡野がゴール決めて、ワールドカップへ日本が出場決定とかっていうシーンがいままさに、 これから観られるってわかったら観るじゃん? 野球もサッカーも興味ないのにてきとーなこと書いてすまんけど。でも。 An Isle Ate Herはこれから、僕らにそれくらいのものを観せてくれるんだってのを確信してたんだよ。 だってなあ、あんなとんでもないPhreniaっていうアルバム作ってさあ。 ・・・これで、本当に終わり? そんな喪失感でいっぱいな俺に、AIAHのフロントマンChazから、ソロ名義での新作が届いた。
彼がこれまでにソロ名義で展開していた音源のうち、So Childishのメランコリーと、 Slug Swellでのプロダクションを足して2で割った的な・・・ものでは決してない。 これは、AIAHの終焉に関して、音楽での彼からのステイトメントだ。 彼からの、決意表明だ。 このEPのラストトラック、 God Hates you, Doomed America, for What You Have Done to Your Children のに、この稀代のアーティストが込めた思いとは。 もちろん、それは重たい。重たいなんてもんじゃない。 トラック3のThin Red Ropeとか、Chaz Bellの新機軸ですよ!! 最高ですよ!!!
An Isle Ate Herが無期限の活動停止を本日、彼らのfacebookにて発表。 以下、全文。 「As of tonight, we have come to the conclusion that An Isle Ate Her will be going on an indefinite hiatus. We will still be playing some shows we had scheduled for the tour, but not all of them. Our last shows will be December 28th in Athens, GA at the Caledonia Lounge, January 2nd in Nashville, TN at Little Hamilton and January 3rd in Atlanta at the 529, all with City Of Ifa and other awesome bands. Thanks for all the support over the years, we appreciate it more than you'll ever know.」
・・・なんで?あんな、Phreniaみたいなとんでもないアルバムを出して、これからツアーをバンバンやって、 知名度を上げてどっかのレーベルと契約して・・・っていう。まさしく、これからって時なのに!! what a shame!!
僕はAn Isle Ate Herが本当に大好きだった。 このバンドとの出会いは、自分のリスナー人生のなかでももっとも大きなものだったし、 正直、このアナウンスメントを目にしてからというもの、喪失感がとてつもない。 きょうの午後とか仕事が全然手につかない始末で。 とにかく、このことをブログという形にしようと思ったものの、 いまの僕には無理だ。後日、冷静になってからAIAHというとてつもないバンドの終焉について、 僕なりに思うところを記したいと思う。